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2005-07

不屈の精神

夏期講習会およびコンクールに参加していたファブリースという35歳くらいの方がいらっしゃいました。
「彼は素晴らしいピアニストだった」とフォシェ先生は言います。
実は彼は半年ほど前に交通事故に遭い,左半身が思うように動かなくなってしまったのです。僕はその話を講習会の初日に聞いていたのですが、コンクールにも参加するくらいだからほぼ完治に近い形なのだろうと思っていたのです。
コンクール当日、彼が弾いたのはベートーヴェンの3番の協奏曲。
聴いて愕然としました。左手はまだほとんど動かず、細かく指を動かさなくてはいけない部分はベースラインだけ追ったり、本来は左手を使う部分で右手だけでも弾ける所などは右手だけに置き換えたりしているのです。
一楽章、三楽章の速い部分などは当然駄目なのですが、二楽章はフォシェ先生の言葉をはっきりと証明していました。音の響き、息づかい、どれをとってもプロフェッショナルでした。
そして同じように不屈の精神で音楽を書き上げたベートーヴェンのように、彼はこの大コンチェルトを弾き通したのです。会場は感動の渦に巻き込まれました。
それにしても35歳まで打ち込んで必死に築き上げたものが突然の不幸によって失われるというのはどのような気持ちなのでしょうか。ピアノの大変さがわかるだけに、なんともやりきれない気持ちになりました。
しかし、それと同時に彼はいかにきっちり演奏した人よりも観衆を感動させたのです(その種類こそ違うけれど)。改めて音楽というものの凄さ、そして人生というものを考えさせられた一日でした。
fabrice.jpg

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