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2013-06

天才と呼ばれた男の秘訣

アルトゥール・ベネデッティ・ミケランジェリ。イタリア史上最高のピアニストと言っても過言ではない彼に関する本を最近読みました。
ミケランジェリ

私がイタリアで師事したモウケ女史も、ミケランジェリのお弟子さんでいらっしゃったということですが「彼が違う音を弾いたのを聴いた事がない」といつもおっしゃっていました。

録音を聴くと、同時代のピアニストには見られないほどの完璧無比なテクニック。それも、デジタルな演奏の多い昨今の正確さとは全く性質を異にし、そこから溢れ出す気品と表現力は未だに類を見ないと言っていいでしょう。特にドビュッシーの前奏曲は記念碑的だとすら思います。

ピアノを離れると冷淡で、マスコミや信用のおけない評論家などとは言葉も交わさない人物だったと言われていますが、この本の著者であるリディア・コズベックは確かにそれは正しいが、彼のほんの一面に過ぎない、と書いています。その全く社交的でない性格は全てが音楽に向けられているからであり、芸術家として、また職人としての彼に必要だったということなのでしょう。

そんな正確無比なおかつ表現力を失わないピアノを弾く秘訣はなんなのか。私は次の部分に集約されていると思います。

「製品は、大事にすればするほどよく仕上がる。そのためには一つの方法だけが存在する。それは仕事、仕事、仕事。そして忍耐、控えめ、献身である」(ミケランジェリ)

天才は努力の天才なのだ、と改めて思い知らされる言葉です。翻って私はどのようにピアノと向き合っているだろうか、と省みると反省の言葉しかでません。

昔私が大学に入り立てだった頃、始めて見る都会のレベルについていくのに必死でした。今よりもずっと非力で不器用で譜読みも遅かった為に、勤勉に過ごさざるを得なかったのです。そのかわり、一曲を穴があくまで読んで仕上げよう、という意気込みは今よりも強かったと思います。

現在ももちろん必死に勉強をしていますが、短期間で要求される曲数が膨大になり、必ずしも研ぎ澄ました状態で演奏できない事が時々あります。そんな中、天才が残してくれたこの金言。あの頃の初心を忘れず、一曲一曲を大事に仕上げて行こうと改めて思い直しました。


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